先日「九条の大罪」というドラマを10話まで視聴したので元警察官という目線で感想を述べたいと思います。
まず、ヤクザや半グレの依頼ばかりを請け負ういわゆる悪徳弁護士と呼ばれる弁護士は実際存在します。
本ドラマの主人公である九条弁護士には彼なりの正義があり、法律の前ではいかなる人も平等でなければならないと話していました。
確かにその考えは真の意味で正しいと言えるかもしれません。
しかし、私からすれば九条先生がやっていることは「法律」を盾にした単なる「言い訳」に過ぎないと感じました。
ドラマ自体ははらはらする場面が多く、観る分には十分に見ごたえがあって面白かったと思います。
ただ、元警察官という目線で見ると、いろいろと思うところがありました。
まず、九条先生は逮捕された被疑者を弁護する際、必ず「完黙」するよう指示していました。
黙秘は被疑者の権利であり、余計なことは言わなくていい。言えば不利になることがあるから。というのが言い分でしたが、逆に言えば供述することもまた「権利」なわけです。
実際に弁護士と接見するまでは素直に取調べに応じていた被疑者が、面会した直後から黙秘することが本当にありました。
真に反省しようとしていた被疑者であっても、「話さない方が有利になる」と言われたら話さないようになるのが道理です。
警察や検察が取調べを行う理由は供述を引き出すことで事件の究明を図ることであり、この供述によって裁判で有罪に持ち込むことがあることは確かです。
しかし、本来の警察官の取調べの目的は、「反省を促すこと」なのです。
九条先生がいかなる正義を持っていたとしても、完黙を促すことは正しい行為とは思えないというのが私の率直な感想です。
被疑者が冤罪であったら話は別ですが、罪を犯していることが明らかであるならば、「20日でパイになります」はクソとしか言いようがありません。
ちなみに、警察や検察はここまで無能ではありません。
「完黙」されたからと言って、起訴されないことは稀です。あと、これは実務上の話ですが、弁護士から完黙するよう言われていたとしても、本当に完黙する被疑者はごく少数です。
よほど強い意志がないと完黙を貫くことはまずできません。それほど警察の取調べは厳しいものであり、それぞれの取調官が独自の捜査手法をもって取調べに臨んでいるのです。
弁護士は依頼者のために存在することは理解しています。
しかし、刑事・民事問わず、原告がいれば被告がいて、被疑者がいれば被害者がいるのです。
警察は確かに一枚岩ではありませんが、大半の警察官は被害者のために尽力しています。
大なり小なりはあれど、ほぼすべての警察官が犯罪者を許せないという強い信念をもっています。
弁護士はたとえ凶悪犯であってもその権利を主張します。
例えば死刑問題です。
私は死刑賛成派であり、死刑廃止はありえないと思っています。しかし、人権派の弁護士などは死刑廃止を求めて活動しています。
死刑囚に人権はあるのか。
これに対する答えはイエスです。
たとえ死刑囚であっても、不当な扱いを受けていいとは思いません。
しかし、死刑囚が権利を主張するのは違うと考えます。
それこそ死刑囚が「カメラでずっと見張られている」と言って訴訟を起こしたり、死刑囚が「死刑は人権侵害」と言って廃止を求めたりするわけです。
そんな権利あるわけないんです。
死刑囚ですから、当然殺人を犯した人間でしょう。
人の命を奪っておいて、裁判で死刑判決を受けておいて、命乞いならまだしも、「死刑は人としておかしい、人が人を裁くことなんてできない」と死刑そのものが間違っていると主張するわけです。じゃああなたはどうやって犯した罪を償うんですか?被害者遺族は極刑以外望んでいないのです。生きて罪を償うとか、更生するとか、被害者遺族からすればどうでもいいことなんです。
私は物事を考えるとき、時に客観的に、時に自身に置き換えて考えています。もしも自分の息子が、娘が無残に殺されても果たして同じことが言えるのかと死刑廃止を訴える人に問いたい。
そういえば、九条の大罪というドラマをみてとある事件を思い出しました。
私が捜査四課に派遣されていた際、暴力団が絡む詐欺、公正証書不実記載、同行使事件を追っていました。
本部が動いたのはこの事件にとある悪徳弁護士が絡んでいたからでした。捜査に尽力した結果、ついに弁護士が事件に絡んでいたことが特定され、逮捕状と事務所に対するガサ状を取得して意気揚々と弁護士事務所に乗り込んだのですが、事務所はすでにもぬけの殻でした。ここから弁護士の捜索が始まったのですが、居場所を突き止めることができず、人員が縮小され、私も本来の部署に戻ることになりました。
それから約1年後、追っていた弁護士の遺体が南港で浮かんでいるのが発見されのです。本件に関わった誰もが暴力団に殺されたと思ったはずですが、どうやら自殺として処理されたようです。
事実は小説より奇なりと言いますが、九条先生がどのような結末を辿るのか、楽しみです。
シーズン2も絶対観ようと思います。
ケイジ探偵事務所
住所:大阪府門真市千石東町39-1-4
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