元刑事課警察官が「冤罪」について語ります【大阪の探偵事務所】

query_builder 2025/02/14
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本日はバレンタインです!私は保険屋さんからチョコレートを頂きました。

さて、今回は「冤罪」についてお話ししたいと思います。

先日「正体」という小説を読んだことで改めてこの「冤罪」について考えました。

人が人を裁くわけですから、そこには「絶対」とか「100%」は存在しません。

あくまで限りなく100%であって、そこには犯人ではない可能性が僅かに存在するのです。

刑事裁判には「疑わしきは罰せず」という大原則があります。

これは例えその者が99%犯人であったとしても、そうでない可能性が排除できなければ有罪にできないというもので、要するに決して間違った判決を下してはならないことを意味しています。

ではなぜ「冤罪」というものが起きてしまうのか。


答えは「証拠」にあります。

現代社会においては、いたるところに防犯カメラが設置されていることに加えて、携帯電話等の電子機器による情報、さらにはDNAなどの科学捜査によっていわゆる「客観的な証拠」が収集できるようになりました。

これによって「自供」に頼らない捜査が基本となり、自供がなくても起訴できることが一般化したのです。

ではこれらがなかった時代はどうだったでしょうか。

日本の警察は確かに優秀です。

たとえ被害者と面識がない強盗殺人であったとしても容疑者が浮上するまで徹底して捜査します。

しかし、ここで浮上した犯人は、指紋が一致すればそれは確定的ですが、なかった場合、例えば不審者情報であったり、前科者による類似犯罪であったり、とにかくあらゆる捜査手法を用いて特定した容疑者なわけで、そこに客観的な証拠はなく、あくまで状況証拠等を積み上げて浮上した者になります。

そしてここからが冤罪を生む大きな理由となるのですが、当時は「自供」が証拠として十分な価値をもつものだったのです。

自供というのは、自らが罪を犯した犯人だと認めることを言いますが、例えば殺人事件の犯人と疑われてやってもいないのに自分が犯人だと言うはずがないと、普通誰しもがそう思います。

だからこそ自供の証拠能力は高かったのです。

そこには「警察が拷問するはずがない」「証拠を捏造するはずがない」という固定観念が存在しました。

警察官は中立であり、犯罪を取り締まる立場なわけですから、その警察官が犯罪を犯すはずがないと。

しかし、この固定観念が冤罪を生んだのです。

警察側が「こいつが犯人に違いない」と判断すれば、その瞬間から、その決定は絶対となります。

刑事は被疑者(容疑者)と一対一、もしくは二対一で取調べを行います。

そこは閉鎖された空間であり、カメラは存在せず、助けを呼んでもまわりは全て警察官です。

取調べは気が遠くなるほど長時間行われ、それが毎日続きます。

時には暴力をふるわれて取調べをされていたのだと思います。

さて、本来であれば、いくら暴力を受けてもやってもいない罪を認めるようなことはしないと誰もが思うでしょう。

いつか終わると我慢して耐えることができるのではないかと。

しかし、これは逆です。

このようにして自供してしまっても、された側としては、裁判で無罪を主張すればいいと判断してしまうのです。

警察の言いなりになっておいて、いざ裁判になったら拷問を受けていたこと、長時間の取調べを受けていたこと、耐えられなくなって自供してしまったこと、これらを主張すればいいと思ってしまうのです。

もちろん、裁判になれば誰もがこのように主張します。だってやっていないのですから。

しかし、警察は裁判で無罪を主張されても、拷問されたと言われても問題ないと高を括っているのです。

そのために調書の中に必ず「秘密の暴露」があったことを明記し、それを裁判で主張するのです。

「秘密の暴露」というのは、犯人しか知りえない情報を暴露することを意味します。

例えば、殺人を犯した後、死体を山中に埋めたとすれば、死体の場所は犯人しか知りえないことになります。

他にも殺害方法、殺害した凶器、凶器の隠し場所などがこれにあたります。

この秘密の暴露をあたかも犯人から聞き出したように誘導し、これを調書に明記することで大きな証拠としたのです。


では現代社会において「冤罪」は存在するのか。

答えは限りなくNOに近いYESとなります。

先ほども言ったように人が人を裁くわけですから、そこに絶対はありません。

しかし、先のような事情から「自供」の証拠価値を見直すとともに、取調べにおいては「可視化」が義務化されています。


「冤罪」は決してあってはならない事態ですが、だからと言って冤罪を恐れて犯人を取り逃がしてしまうこともあってはならないのです。

最近で言えば「紀州のドンファン事件」が無罪判決となり、話題になりました。

この事件は今後の裁判に大きな影響を及ぼすと言っても過言ではないほど重要なものと言えます。

検察側は被疑者(容疑者)の元妻に対して、状況証拠を積み重ねて積み重ねて起訴したわけですが、結果としては無罪となりました。

個人的な見解としては、やはり100%と言える証拠がなく、限りなく真犯人として間違いないが、「冤罪」の可能性が僅かでも存在しているという理由で無罪となったと思われます。

控訴したことで再び裁判となりますが、結果次第では今後の捜査に大きな影響(※状況証拠だけでは有罪を勝ち取ることができない)を及ぼすことになります。

「冤罪」事件は取り上げられていないだけで、実際には身近にも起こりえることです。

その最たるものが「痴漢」の冤罪です。

私が実際に取り扱った痴漢事件で「女性側が虚偽だった」ということがありました。


自身の身に降りかかったらと思うと本当に恐ろしいですね。

今回は冤罪についてお話しさせていただきました。


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ケイジ探偵事務所

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