大阪の探偵が日本の刑法について語ります
前回地面師詐欺について私見を述べさせていただきました。
今回はそもそもなぜ詐欺が繰り返されるのかなどについてお話ししたいと思います。
詐欺罪が横行する理由は、端的に言うと刑罰が軽いからです。
前回も言ったように、詐欺罪は最大でも懲役10年で初犯であればわずか数年、場合によっては執行猶予付きとなりわずかな期間で出所できてしまいます。
数億、数十億だまし取ったにもかかわらず、仮に逮捕されたとしても最大10年刑務所に入るだけで出所後は大金持ちになるのです。
先日元寝屋川市議会議員の吉羽美華被告がコロナの公的融資をめぐる詐欺事件の裁判で懲役10年・追徴金1億9800万円の判決が出ました。
追徴金というのは、犯人が得た利益を金銭で没収することで罰金とは異なります。
被告は初犯でしたが、共謀して約三億ものお金を騙し取っており、悪質と判断されて最大の10年の懲役が出たうえに高額な追徴金まで徴収されることになりました。さて、この追徴金ですが、おそらく本件の被告の場合は回収可能と思われるので、詐欺で得た金銭のほぼすべてを失ううえに、刑務所に収監されることになります。これだけみると、厳しい処分であり、割に合わないと思うかもしれませんが、追徴金は罰金と違って回収するのが困難なのです。
どういう意味かと言いますと、罰金の場合、支払うことができないと労役場に留置されることになり、そこで一日5000円(最大2年間)で労役が課せられるのです。
これに対して追徴金は支払えないと判断されればいわゆる泣き寝入りです。現金の他に財産があればそれらを差し押さえることができますが、なければどうしようもないのです。
詐欺師は詐欺で騙し取った金を隠します。隠し方の大半がマネーロンダリング(マネロン)といって、金融機関との取引口座を移動させたり、株式やビットコイン等に交換することによって資金の出所や流れを分かりにくくする手法を用います。マネロンは海外口座を経由することでさらに巧妙に隠すことができるので、ここまでされると回収することはほぼ不可能になるのです。
ではなぜ詐欺の罰則を厳しくしないのか。
ここからはあくまで私の私見です。元警察官として思ったことを言います。
その答えの一つとして、詐欺は「騙される方にも問題がある」と認識されていたからではないでしょうか。地面師詐欺もそうですが、投資詐欺、還付金詐欺などもそうです。
「そんな儲け話、うまい話に騙される方がおかしいよね」ということが前提にあったのです。
では「オレオレ詐欺」や「結婚詐欺」はどうでしょうか。
お年寄りを騙して老後の蓄えなどを奪っていくのです。結婚したいと思っている男性・女性の心に付け込んで金を搾り取っていくのです。決して儲け話に騙されたわけではありません。
しかし、現時点において、罰則は現行のままであり、今後変えようとする風潮さえありません。
この理由も、「これだけテレビ・新聞で注意喚起しているのになんで騙されるの」とやはり騙された側にも責任があるかのようなイメージがもたれているのだと思います。
これは古き時代の考え方だと私は思います。
いじめに対して、「いじめられる方にも問題がある」「いじめられるべくしていじめられている」「やり返さない方も悪い」などといじめる側ではなく、いじめられる側に責任があるような風潮が今も根付いているのです。
その証拠に、現在の日本は、被害者よりも被疑者の方が人権が保障されているのです。
意味わかりますか?どうして被疑者(犯人)を守る必要があるのでしょうか。
例えば性犯罪者に対してはGPSを埋め込むべきと私は思っています。なぜなら性犯罪は一種の病気であり、再犯率が極めて高いからです。しかしこれに反対する団体が存在しており、新たな犠牲者が出るかもしれないことよりも、被疑者の人権を守ることの方が重視されているのです。
こんなことを言いたくはないですが、被疑者の人権を主張する側のご家族に被害者が出ても同じことが言えますかと問いたいぐらいです。
詐欺罪に限らず、日本の法律は罰則が軽いと言わざるを得ません。
しかしながら、これも難しい問題で、だったら罪を重くすればいいと言えば決してそうではないのです。
罪を重くしすぎると、今度はどんな手を使ってでも掴まらないようにしようとするのです。その結果、例えば人質をとったり、逃走中に事故を起こしたりと新たな被害を生むことになる恐れがあるわけです。
刑法が制定されたのは、明治40年であり、時代と共に改正はされているものの、罰則に関してはほぼ変化がありません。
令和の時代になった今、改めて刑法を見直すべきではないかと思います。
ケイジ探偵事務所
住所:大阪府門真市千石東町39-1-4
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