警察を脅したヤクザの話【大阪の探偵事務所】
かなり以前に暴力団組織の幹部の取調べにおいて、当時の取調官がその組員から脅迫を受けたことがあるとお話ししたかと思います。
今回はその中身について話していきます。
これは私がまだ新米刑事だった頃、私は本部薬物対策課に派遣され、覚せい剤等の薬物捜査に従事していていました。
当時、西成の路上では当たり前のように覚せい剤が密売されており、老若男女問わず、いろんな人が覚せい剤を求めて密売所を訪れていました。
府警本部はこれを重く受けとめ、捜査本部を立ち上げ、一斉捜査に取り組んでいたのです。
私はとある密売拠点の一つを取り締まる班に配属され、ひたすら内偵捜査に従事していたのですが、その拠点の突き上げ捜査を行ったところ、とある指定暴力団組織が浮上しました。
そして同組織の直参にあたる幹部(当時二次団体の若頭)を逮捕するに至ったのです。
本部としては、二次団体の頭を逮捕したわけですから、さらに同組織の組長、そして最終的には本家の組長まで逮捕しようと意気込んでました。
そうして取調べが始まったのですが、私は取り調べ担当官の補助者として取調べに付き添って、身柄の出し入れ(留置場から調べ室までの移動)をしたり、会話のメモをとったり、証拠品の呈示を手伝ったり、取調べ状況報告書を作成したりと簡単に言えば雑用をしていました。
取り調べ担当官は当時30歳代の警部補で、次期エースと言われるほど優秀な捜査員でした。
取調べが始まって数日がたったころでした。突然担当官から調べ室から出るよう指示されるようになりました。
どうやらこの頃からこのヤクザとの駆け引きが始まっていたようですが、この時点では私は理由すら知らず、なぜ出されるのかとモヤモヤした気分でいました。
ある時、この調べ官が補佐(警部)に状況を説明している場面を見ました。
その時に、被疑者から脅されているというようなことを話していたのです。
内容はこうです。(後に報告書を確認)
被疑者:「刑事さん、ワシで勘弁してもらえませんやろか。ワシが全て罪認めますからこれ以上組に手を出さんといてくださいよ」
調官:「何寝ぼけたとこいってんねん。全部ほんまのこと言ってもらうぞ。本家までガサしたるわ」
被疑者:「それならワシにも考えありますよ。刑事さん、結婚してますやろ。それも最近。まだ小さいお子さんもいてはりますな」
調官:「・・・」
被疑者:「意味は言わんでもわかりますな。ワシの一声でなんでもしよる若いもんがいるんですわ。ワシが罪被る言うとるんやから、それでメンツも立つでしょ」
これは完全な脅迫でした。
本来であれば、警察はこのような脅迫に屈するようなことはしません。
ただ、この時は、
○被疑者が罪を認めていること
○十分突き上げ捜査を実施できたこと
○本家をガサしたとしても組長を逮捕できる保証はないこと
などを鑑みたところ、警察側にもメリットがありました。
また、この脅迫で新たに同被疑者を再逮捕したとしても、実行犯(若い衆)を逮捕できるわけではないので、常に取調官とその家族の身に危険が及ぶ可能性があったことを踏まえ、本部はここで突き上げ捜査の打ち切りを宣言することになったのです。
ちなみにこの被疑者は本当に最後まで「わしが全て指示してやりました」と言って懲役刑を受け、刑に服すことになりました。
これを知った時、所詮警察も人間なんだなと妙に納得しました。
結局開き直った人間、振り切った人間が一番恐ろしいのだと実感しました。
結論:危険な人とは関わらない、危険な場所には行かない。
これが一番なのです。
他にもブログに警察時代の話や体験、探偵の裏知識などいろいろな内容を記載しています。
ケイジ探偵事務所
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